月と星とカピバラとー宵の乙女的日常ー

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某書評家が本紹介系TikTokerを活動停止に追い込んだことについて

 久々にTwitterの読書垢を覗いたらタイムラインが荒れていて驚きました。てっきりハヤカワの絶版本特集云々の話かと思ったらどうやらそうでもないらしい。読書界隈、地味に週一くらいの頻度で燃えてません?何でも今回は名の知れた書評家がTikTokで本の紹介をしている一般人に難癖をつけて、その方がTikTokでの活動を停止する事態になったとか。大元の書評家のツイートも見たけれど、一言で言うとヤバい。

 要約すると「TikTokのような低俗なコンテンツで本が紹介されて、それが売れてもちっとも嬉しくないと思いませんか?あんなのの紹介で一時のブームになるなんて馬鹿馬鹿しい。そもそもあの人(TikToker)に書評が書けるんですか(笑)?」みたいな感じ。いや、やべえ。私はそのTikTokerさんがどんな風に本を紹介しているのかは存じ上げないのですけど、TikTokのようないくら再生されても収益が発生しない、ほぼ趣味でやるようなコンテンツで活動する一般人を、その道のプロが難癖つけて活動停止にまで追い込む構図、グロすぎる。文学系Youtuberさんとかではなく、TikTokで活動してる方をターゲットにしているのがこれまた姑息さを感じるというか。

 若者の活字離れだの出版業界は斜陽産業だの散々言われている崖っぷちの状況で、書評家という本を愛しているはずの職業の人間が、新規参入者の入る可能性を潰すってどうよ。TikTok は今各出版社が欲しがっている10代~20代の若い読者を獲得するのにぴったりなコンテンツだと思うのだけれど。そもそもどんな形であれ、自分の本が紹介されるのは、大抵の作家さんにとって嬉しいことなのではないでしょうか。本が売れない今、バズでも何がきっかけでもいいから一冊でも売れてくれというのが、作家や出版社、書店の総意だと思います。

 それに「TikTokみたいなもんで売れても…」っておっしゃってますけど、新規読者獲得における貢献度においては、書評のような業界の内輪の人間かマニアしか読まないものよりも、大衆向けのTikTokのほうが高いと思われます。これは書評というものが時代遅れとか無意味とかそういうことではなく、単にそれぞれの性質の違いの話ですが。

 業界の先細りによる将来の自身の立場に対する不安からか、単なる嫉妬なのか、件の書評家がどんな気持ちであんな攻撃的なツイートをしたのかは、私にはその真意は分かりかねますが、その道のプロが趣味でやっている一般人を活動停止にまで追い込んだことは、(その後の謝罪ツイートの不満げな文章含め)許されるべきことではないと個人的に思います。何にせよ、Twitter文学賞のようにSNSを通じて長年活躍してきたような方が、同じネットコンテンツ上で活動している方に対し、あのような発言をしたという事実が残念でなりません。