月と星とカピバラとー宵の乙女的日常ー

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11月に読んだもののまとめ・感想-漫画編-

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  雨森小夜ちゃんの3Dお披露目が突如中止になって咽び泣いています。いつもの感じならまあ小夜ちゃんっぽいよねで済む話ですが、今回は親族の関係でいうのが心配。大丈夫かな。

  さて、今回は11月に読んだものをまとめ・感想の漫画編です。小説編はこちら。

https://www.yoi-otome.net/entry/2021/12/05/063753

先月読んだのは5作品でしたが、全部面白かったです。少女漫画に混ざる百姓貴族の異質さよ……。

『恋に無駄口』1-6巻/福山リョウコ/白泉社

  アニメにもなった『覆面系ノイズ』の福山リョウコ先生の新連載です。元女子校を舞台に、顔はいいけどどこか残念な仁科、葵、シロ、マヤの男子高校生4人が、無形文化遺産代行保存部・通称無駄部の活動を通して、恋に青春にと勤しむというお話。

  この作品何がヤバいって、男子達のふざけた言動と唐突に訪れる恋愛沙汰とのギャップにキュンキュンさせられること。普段の4人って無駄部の活動で「食パン咥えてダッシュしたら曲がり角で女の子とぶつかって恋に落ちるのか」とか「人は夕日に向かってどこまで走れるのか」とかほんっっとうにくだらないことを検証したり駄弁ったりしてるんですよ。そんなふざけた日常を送っている彼らが、気になる女の子と接近して赤面したり、幼馴染が他校の男子と仲良くしてる姿を見てモヤったりするのギャップがヤバすぎません?!温度差でグッピーが死ぬ。私ギャグ系の漫画ってあまり得意じゃないんですが、この作品はギャグパートもとっつきやすい面白さだし、むしろギャグパートがあるからこそ、その落差でときめかせられます。l

 カップリングも

  少女漫画ラブで真面目キャラな仁科×仁科をライバル視する漫研の叶

  ハイテンションな超鈍感男子・葵×葵に猛アピール中の幼馴染芽李

  可愛い担当の常識人・シロ×超ツンデレな生徒会長・麗華

  イケメン御曹司だけど圧倒的残念・マヤ×拗らせ気味なマヤの婚約者・天音様

ととても個性豊か。絶対に気になるカップリングがあるはず。

ジーンブライド1』高野ひと深/祥伝社

 『私の少年』の高野ひと深先生の新作です。女性であるが故の生きづらさに日々絶望を感じている依知。そんな彼女はある時、高校時代の同級生・蒔人と再会します。昔の出来事のお礼をしにきたという蒔人に初めは軽快する依知ですが、彼と行動を共にしたり、ちょっとした事件に巻き込まれるうちに次第に心を許していき……?というストーリー。

 この作品のキャッチコピーは「このクソみたいな世界で生き抜くあなたをこの物語は決してひとりにしない」です。犯罪まがいのセクハラを受けたり、女であるがために仕事相手に対等に見てもらえない依知の心の内は、女性なら誰しもが共感するものだと思います。そして「女性の生きにくさ」に対して鈍感な蒔人についても思うところあるはず。現代日本を生きる等身大の主人公・依知が蒔人との出会いによりどう成長していくのか注目です。依知が学生時代に起こった事件とか依知と蒔人が通ってた学校の「ジーンブライド」制度等の謎も気になるところ。

 本作については過去により詳しい記事も書いているので、よければそちらも覗いてみて下さい。

清少納言と申します 1-2』PEACH-PIT/講談社KCコミックス

 「歴史上の人物で一番尊敬する人は誰?」と聞かれたらあなたは何と答えますか?織田信長福沢諭吉キング牧師?私は迷わず「清少納言です」と答えます。まあ生まれてこの方そんな質問をされたことはありませんが。だって彼女がいなければ所謂歴史の敗者である定子の存在なんて、歴史の影に埋もれていたに違いありません。ペン一つで歴史の勝者である彰子よりも主・定子の存在を後世に知らしめるなんて恰好良すぎませんか?肝心の枕草紙も本当に本当に面白くて大好きです。教養の深さと感受性の豊かさが分かる文章、堪りません。

 私のオタク語りはここまでにして『清少納言と申します』の話に入ろうと思います。作者は『しゅごキャラ!』や『ローゼンメイデン』のPEACH-PIT先生。実は本作の存在自体は枕草子ファンとして、かなり前から存じ上げていたのですが、なんかぶっ飛んでいそうな気がして様子見していました。

 で、実際に読んでみた感想なのですが、やっぱりぶっ飛んでました。物語は清少納言橘則光に嫁ぐところから始まるのですが、嫁にきた清少納言(以下なぎ子)の派手な身なりに、則光の姉はドン引き。こんなのを大事な弟の妻にするわけにはと、2人を離縁させるためになぎ子の弱みを探りにかかります。そして何だかんだ色々あってなぎ子が実は♂だったという衝撃的事実が判明!!ともう1話から飛ばしまくりです。

 けれど驚いたことに、こんなにもぶっ飛んだお話にも関わらず、元ネタにかなり忠実。例えばなぎ子の初登場のシーンで、彼女は葦で作らせたグラサン(笑)をかけてるんですが、これについて「目の前に小さな御簾があればいいのになって思って」と発言したり、野党に襲われた際に裾をたくし上げて……(お下品なのであとは想像にお任せ)というくだりがあったりと作者すごい研究してる!?とビビり散らかしました。ちなみに後者は清少納言の晩年の伝説的なエピソードです。枕草紙ファンが大好きな「香炉峰の雪」ネタももちろん出てきます。

 なぎ子についても性別は♂ですが、心は女性って風なので、定子様に対し疚しい感じではなく、原作のように「理想のお姫様」として見ているというのにもスタンディングオベーション。原点ネタを織り交ぜながら、オリジナリティー溢れる作品に仕上げていて、ベテランの力量を実感させられました。けど、流石に「あなやー」が悲鳴?なのには笑う。なぎ子以外のキャラも個性豊かで面白いです。光源氏のモデルと言われる藤原実方、後に望月の世を謳歌する藤原道長などそれぞれ従来の人物像とはだいぶ異なっていますがめちゃめちゃ魅力的。不穏な雰囲気漂う道長にちょっとキュンとしてしまったの、清少納言推しとしては不覚なんですが!?

 ところでこの作品、どこの本屋に行ってもなぜか3巻だけないんですよね。いい加減続きが読みたいところ。

『推しの子 6』赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社ヤングジャンプコミックス

 わざわざあらすじを語るまでもないでしょう『推しの子』の新刊です。前巻に引き続き2.5次元舞台編。前の巻では、原作者と脚本家のすれ違いに普段「原作改変とかまじないわー」とか愚痴っちゃってる自分を思い出して若干胃が痛くなりましたが、今回は演技のお話がメインだったので、門外漢としては楽しく読めました。

 やっぱあれですね!メルト君が報われてよかったです!!「今日あま」でやらかした自覚がある分、彼のプレッシャーは相当なものだったと思いますが、「演技が下手」というのを逆手に取ったやり方が格好良かったです。発破をかけたアクア君いつもながらナイス。

 あとはやはり、かなちゃんとあかねちゃんの演技のぶつかり合いでしょうか。演技について一ミリも分からないので上手く言えないですが、かなちゃんに憧れて、芸能界入りしたあかねちゃんが、今のかなちゃんを奮い立たせる装置の役割を果たしているのがアツいなあと思います。そういえばアクア君が仮定の話として「自分が芸能界にいる理由(母の仇への復讐)」を語った際に、「一緒に殺してあげる」とあかねちゃん答えたましたが、最高だと思います。どっちかというと、かなちゃんとくっついて欲しいけれど。

 今回一番笑ったのは、「女の連絡先をガツガツ聞いてくる2.5役者は大抵エグい!」のくだりです。それなーーー!!1

百姓貴族 7』荒川弘/新書館

 『鋼の錬金術師』、『銀の匙』の荒川弘先生がおくる抱腹絶倒の百姓エッセイ、待望の7巻。荒川家が酪農を辞めたあとの話だったり、荒川家のペットのお話だったり、野菜泥棒の話だったりと今回も色々楽しませてもらいました。野菜泥棒については心が痛むのであれですが。

 一番記憶に残っているのは、特定の香りと記憶が結びつく「プルースト効果」について。大豆ミートバーガーを食べてて焼いた豆の匂いで、昔の農作業の記憶が呼び起こされるってなんか嫌だ。雨上がりの後のアスファルトの臭いで、中学時代の部活動のトラウマを思い出す私と近しいものがありますね。あとは、テレビでよくみる農家や農作業の風景の舞台裏の話も印象深いです。ドラマの撮影で使ってない小屋を貸したら、全焼するという設定で燃やされたというのがヤバかったです。事前許可なしで燃やすって訴えたら勝てる事案では……?

 

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