だんだん寒くなってきました。キーボードを触る指が驚くほどひんやりしていてビ
ビります。そろそろ音ゲーユーザーには辛い時期になりそう。今日明日はプリライです
が、現地参戦の方は寒さ対策をしっかりして下さいね。メットライフドーム、マジで寒
いので(県民)。プリンセスみんなが笑顔でライブを楽しめますように。
さて、今日の記事は最近読んで面白かった漫画について。終ヴィル救済√の感想の冒
頭でちょこっと言及したやつです。私、その月の新刊は調べて、何を買うか事前に決め
ているんですが、この新刊は完全にノーマークでした。作者さんの試し読みツイートが
たまたま回ってきてよかった……!Twitterの販促から漫画を買ったのって実は初めて。
それくらい試し読みで心奪われた作品です。
仕事相手に初体験の年齢を聞くな(1/8) pic.twitter.com/3uZhn9Fy7M
— 高野ひと深 11/8『ジーンブライド①』発売 (@tknht3) November 8, 2021
作品名は「ジーンブライド」。「ジューン(June)」ではなく、「ジーン(Gene)」で
す。遺伝子という意味の単語。作者は「私の少年」で有名な高野ひと深先生。下のあら
すじは公式様より引用しました。
この漫画の特筆すべき点は、女性なら誰しもが共感する要素がふんだんに盛り込まれ
ているところ。主人公の諫早依知は、女であるが故の「生きづらさ」に対し、日々絶望
と諦めを感じている女性。彼女がランニングコースで自分を見て〇〇〇ーをするおっさ
んに遭遇したり、仕事で男性と二人きりになった瞬間、セクハラまがいの質問を受けた
りする姿は女ならみんな既視感を覚えるんじゃないでしょうか。バイト先で初めてセク
ハラ電話を受けた時を思い出したよ私は。顔も名前も知らない女相手にハアハア言って
んじゃねーぞ。
作中でとりわけきつかったのは、依知が「女だから」仕事で男性と同じ土俵にすら立
てなかった場面。依知は記者のような仕事をしており、映画監督に新作の演出について
インタビューするシーンがあるのですが、真面目に仕事をする彼女に対して監督は、
「こんな綺麗な方初めて見た」とか「そんなに褒められると男はみんな勘違いしちゃ
う」と真面目に取り合っていない様子。取材後の依知の心の声「はァ~~~うんこたれ
がよ」にガチで共感。
依知の時は上記のような態度だった監督ですが、別の機会で男性である蒔人が依知と
全く同じ質問をしたときは、「良く気づいてくれた!!」とでもいうように、映画監督
として、嬉しそうな笑顔を見せるんです。お前依知の話なんも聞いてなかっただろ。仕
事で来てたんだぞ彼女は。自分が男だったら、仕事に対してもっと真剣に向き合ってく
れたんだと気づいてしまった依知の心情は如何ばかりか。もう一巻だけでも身に覚えの
ある「女性だから」起こることが多すぎて、依知への共感が強くなるばかり。それら一
つ一つに怒りを覚えながらも、どこか諦めた様子の彼女の様子もリアルです。何故こち
らが慣れなければならないのか。
そして女にしかわからない生きづらさをより強調しているのが、蒔人の鈍感さ。彼は
依知が何故男性への取材のとき同行を頼んだのか(セクハラ自衛)、何故女性が虫よけ
用の指輪を探すのか、何故トイレにペンがあると女は場所を移動するのか(盗撮)全く
分かっていない様子。ネジに見せかけた小型カメラとか靴に仕込むレンズとか女性なら
注意喚起でみんな知ってそうだけど、男性側の認識は薄いものなんでしょうか。こっち
は電車で向かい側に座っている男性のスマホの向きにすら恐怖を覚えることがあるとい
のに。そんな鈍感な蒔人に対する依知の「いいよね。あんたらはあんたらのことだけ考
えてりゃいいんだから。あたしらはあんたらのことまで考えておかないと死ぬかもしれ
ないってのに」言葉の威力は凄まじいです。依知の強烈なカウンターを受けて、色々調
べる蒔人さんが真面目で可愛い。
第一巻は導入のような感じで、依知と蒔人がちょっとした出来事の数々を経て、仲良
くなっていく様子が丁寧に描かれています。第二巻以降で依知が男性不振に陥るきっか
けとなった学生時代の事件や2人の通っていた学校の独自システム・ジーンブライドに
ついて明かされるようですが、それらも含め、これから2人がどんな道を辿るのかに注
目。
この作品のキャッチコピーは『このクソみたいな世界で生き抜くあなたをこの物語は
決してひとりにしない』。等身大の女性主人公・依知がどうやって理不尽な世の中を生
き抜いていくか一人の女性としてとても楽しみです。